会社勤めのみなさま、毎日お疲れ様です。
ところでお勤め先の会社は残業代がきっちり支払われていますか?
「出るのが当たり前だろ!」って思ってらっしゃるそこのあなた。あなたの会社はまともな会社です。
残念ながら、世の中残業代が出ない会社は山ほどあります。
中小零細企業ならほぼ残業代は出てないと思ってもらってもいいかも。世の中の会社の大体はブラック企業でしょうね。
そんなブラック企業が、人件費削減のためによく使う手段に”固定残業制度”というものがあります。聞いたことありますか?
「固定だろうと残業代出てるからまだましなほうでしょ」
そんな声が聞こえてきたような気がします。
そうお思いのあなたはまだまだブラック企業というものをよく理解していないですね。
悪しき”固定残業制度”について語りますので、最後まで読んだ時には「自分はましだな」って思っていただけると思います。
固定残業制度とは
もう少し具体的に言うと、
企業「従業員の残業時間はだいたい1.5時間ぐらいか」
企業「正直、残業時間計算するのめんどくさい」
企業「せや!1日あたり1.5時間分の残業代を毎月つけとけばいいやんけ!」
企業「そうすれば全員の残業時間の計算に追われることもない!しかも予算も組みやすいときた!」
企業「いいことしかないやんけ!」
こんな感じです。もう少し詳しく説明します。
企業が固定残業制度を導入するメリット
メリット① 残業代の計算をしなくてもいい
毎月の給料は固定されているため、給料の計算をする際の事務負担を軽減することができます。計算するのは経費精算ぐらいでしょうか。
従業員全員の残業代を計算をするために、人を雇いさらに給料を払うのもバカらしいですしね。
割と大きなメリットではないでしょうか。
メリット② 人件費削減
給料計算分の人件費の他、毎月の残業代は決められた金額以上にはなりません。
普通の企業だと今までの残業代と同じぐらいの固定残業をつけますが、悪いこと考えている企業は、もっとえげつない手を打ってきます。
詳しくは後述します。
メリット③ 1年間の予算を組みやすい
従業員の給料は基本的に固定されていますが、残業代は変動費ですね。繁忙期は残業代が増えて、閑散期は残業代が減る。
これだと1年の予算を組むのに一苦労です。どれくらいの残業代を見とけばいいかの判断は難しいですしね。
そこの判断を間違えたら経営の判断も間違いかねません。
残業代を固定にしておくと毎月の人件費が固定されるので、年間トータルの人件費が計算しやすくなります。
メリット④ 残業代の未払い問題に対応
ここはブラックな部分ですね。
基本的に固定残業代は、あらかじめ想定している残業時間を明記しておき、固定残業時間を超えた部分は、きちんと追加して払う必要があります。
悪いことを考えている企業はこの固定残業時間を何時間に設定するかが、ある意味キモになります。
こちらも詳しくは後述します。
企業が固定残業制度を導入するデメリット
デメリット① 早く帰っても残業代の支払いがある
もちろん従業員が早く帰っても残業代部分は固定されたままです。
固定残業を導入したことにより、本来支払わなくてもいい残業代を支払う可能性があります。
デメリット② 従業員のモチベーションの低下
毎月の残業代でお小遣いを増やしている人は多いと思います。
しかし、固定残業制度を導入していると、何時間残業しても毎月の給料は変わりません。結構頑張って残業しても、給料が一緒ってのは結構げんなりしますよね。
デメリット③ 採用時の評判が悪くなる
転職活動や就職活動時に、固定残業制度を導入している会社にはできるだけ入りたくないものですよね。ブラック集臭がすごい。
企業側にとったらせっかくコストをかけて採用活動しているにもかかわらず、人が集まりにくいことになるかもしれません。
固定残業制度はきちんと運用すれば問題ない制度
とまあ企業側にとってのメリット・デメリットをいくつか書きましたが、本来の目的通りに導入すればなんの問題もないんです。
もともと払われていた残業代を、事務負担の軽減や予算の組みやすさから固定化しただけですから。
きちんと導入して運用している会社では、企業側も従業員側もお互い納得のいく制度になるはずなんです。
問題は固定残業制度を悪用する企業
経営者によっては固定残業制度を悪用しちゃうんです。従業員の気持ちなんて全くの無視。自分の資産を増やしたり守ることしか頭にありません。
では具体的に書いていきますね。
もともと決められている基本給の内訳を分ける
わかりにくいですよね?
数字を使って説明していきます。
従業員Aさんの場合月額の給与30万円
↓固定残業制度を導入
月額基本給25万固定残業代5万
給与総額30万
給与総額を変えずに内訳だけ変えました。
こうするとどんなことになるか想像してみてください。
残業代は無し
今までは基本給30万円に残業代数万円を加算した金額が給与総額でした。
しかし内訳を分けることによって、残業代は固定残業代に変わりました。これからは残業しても毎月の給与は増えることはありません。
こうすることによって企業としては人件費を削減することに成功しました。
従業員の気持ちは無視ですけどね。
未払い残業代対策になる
きちんと残業代が支払われている企業なら何も問題ないですが、世の中残業代を支払わない企業は結構あります。
マイナビの調査によると約30%の人が残業代をもらっていない、と回答しています。僕の予想ではもっと多いと思いますよ。中小零細なんて90%ぐらい残業代は出していないですよ。
話を戻します。
残業代をもともと出していない企業が固定残業制度を導入し、基本給の内訳を変えました。
その後、従業員退職後に未払い残業代の訴えを起こしました。
訴えた内容は
”1日3時間×250日分=750時間”
”750時間×2,000円=1,500,000円”
このとき、固定残業制度を導入していると、
「うちは固定残業制度を採用しています。あなたが訴えた残業代の内2時間30分は固定残業に含まれています」
「なのでそんなに払いませんよw」
「まあ可哀そうなので、30分×250日の250,000円ぐらいは払ってやってもいいけど」
「弁護士報酬足りる?w」
となるわけですよ。
腹立つ!!
ボーナスは基本給ベースで
ここまできたら辞めたほうがいいレベル。
もともとは基本給30万円の〇ヶ月分だったものが、基本給25万円の〇ヶ月分になる可能性が出てきます。
まあブラック企業の場合ボーナスすら出ないところも多いですけどね。
まとめ
固定残業制度はきちんと導入して、運用していけば企業側と従業員側の双方がハッピーな制度です。
しかし一部の、というか固定残業制度を導入している企業のほとんどが自分のことしか考えずに導入しています。
結果的に固定残業制度のイメージが悪くなり、導入している企業が”ブラック企業”の印象を持たれることに早く気付いてほしいですね。
会社を長く続けていくためには経費削減も大事です。
ですが、長い目で見たら固定残業を悪用していることのほうが、企業側にとってはリスクなんじゃないかなと思いますね。
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